地方分権スポーツの波及効果/ラフバラ大学/山崎一彦/kazuhiko YAMAZAKI

地方分権のスポーツ

「ロンドンに留学するんだって?」在外研修が決まった08年によく言われました。いやいや私はロンドンなどとは一言も言っていません。イギリスへ行くと言っていたはずです。私も8年前にラフバラにこなければ、イギリスと言えばロンドンって思ってました。

 もちろんロンドンオリンピックの事前調整場所を探しているということであれば、ロンドンに近くて美しいバースやカーディフ辺りもよいのではないかと思います。JOCは提携しようとしている、ここラフバラを選択してきたのはなかなかの通だと思います。なぜなら立地条件としては、少し気合いを入れてロンドンまで行かなければならない距離だからです。

 イギリスの真ん中にあたる場所なので、日本で言えば中部地方にあたります。バーミンガムがそれらの経済都市になるので日本で言えば愛知県、ラフバラはかなり小さくて田舎なので三重、岐阜あたりといった感じでしょうか。
 日本で言えば、「こんなところで?」という場所が日本一なのです。イギリスの歴史ある大学から比べると、比較的新しい大学がどんどん新しいことをした結果、特徴のある大学になった感じです。

 このようなことに私自身はとても共感を思えます。私の競技人生も、日本で常に3、4番手。それだから
、上位の人たちと異なるアプローチで競技をしようと思いました。その結果、日本一にもなったしライバルを差し置いて世界で入賞できました。その後は、岐阜、現在の福岡に渡ってコーチングをしています。仕事は関東にしがみつけば何かあったかもしれません。しかし何の因果か、地方大学で世界を目指すことになりました。今回も在外研修をするにあたって、陸上大国のアメリカを選ばずイギリスに、そして地方の大学を結果的に選択しました。一つ言えるのは、そこにいるだけで一番だと思ってあまり努力しない人々が生理的に嫌いだからかもしれません。

 それはそうと、地方分権というメリットは、そもそもスポーツというものが中央だけで行い、それらを人口の70%位の人々がテレビやインターネットなどのメディアのみで「良い、悪い」を判断してしまうことです。これは完全にマスコミに操作された誰かの権力や意見によって、そのスポーツの価値が決まってしまう危険性があります。日本人の心と体が豊かになるスポーツは、すべての人が直に感じることがス
ポーツ文化となると思っています。スポーツの感じ方、好きなスポーツ、それらを評論する人。それぞれ地方に根付いたスポーツを身近に感じることが大切だと思います。

 09年3月、日本の野球はWBCで優勝したそうですね。私はイギリスにいましたが、イギリス人からは「おめでとうの一言はもらえませんでした」。WBCの優勝で日本が湧いているころ、ラグビーではSix 
Nationsのグランドスラムが決まり、サッカーのプレミアムリーグの優勝が決まり、スポーツの話題に事
欠かない状況でした。ちょうどこの文章を書いている4月、アメリカで合宿をしています。アメリカ人には、決勝戦が日本vs韓国になったことに、
「アジアの野球には参った!すごい!」
そして、
「日本は陸上を始め、どんどんスポーツが強くなっているね。」
という言葉をもらいました。
後日、アメリカで一緒に合宿をしているイギリス人に、
「日本の野球は強いの?」
と聞かれました。
「日本で一番人気のあるスポーツで、強い」
と答えておきました。 

 この不況で明るい話題がない中、みんなに勇気を与えてくれたかもしれません。経済波及効果も一生懸命計算して「上がった」と言っています。しかし、どこか空気が乾いていませんか?イギリス界隈で起こるラグビーとプレミアリーグで動く経済波及効果の方が、遥かに、そしてコンスタントに上回っています。まさにスポーツの多様性と、地域同士で対戦している方が、遥かに熱い感じがします。

 日本の約半分の人口であるにも関わらず、俺はフットボール(サッカー)、俺はラグビー、伝統の陸上競技と選んで誇りを持てるイギリスは、とても心が豊かだな。と思います。

 次のコラムでは、地方に密着したイギリスの強化体制について書きたいと思います。